チョーキングのコツや練習法
チョーキングとは
ギターの弦を上げたり下げたりすることによって音を変化させる技法。
鍵盤では表現出来ない、ギター特有の感情豊かな表現を出せます。
チョーキングの語源は定かではないですが、英語で直訳すると「締め上げる」という意味。和製英語のため、日本でしか伝わりません。日本以外ではベンド、ベンディングと言います。「弦を曲げる」という意味が由来です。
ちなみに、チョーキングを上下どちらに上げ下げするかですが、下表が一般的です。
1弦~3弦 |
上に持ち上げる |
4弦 |
上下お好みでどちらでも |
5弦~6弦 |
下に引っ張る |
チョーキングのコツ
指の力ではなく、手首の回転を使う
チョーキングの方法を調べていると必ず「ドアノブを回す/ひねる」という表現が出てきますが、まさにこれが最重要です。私自身、この感覚を掴むのに何年かかかりました。
初心者は指の力だけでチョーキングしがちなのですが、それだと指が痛くなって皮もボロボロになってきます。指の力だけでは安定したチョーキングは出来ません。
(悪い例)
(良い例)
手首の回転を使い、弦を擦り上げるように弦を持ちあげましょう。
左手はドアを開けた時の「ガチャ」ってイメージです。
ドアノブのイメージを湧かすために写真を貼っておきます。
(L字型)
(丸型)
複数の指でチョーキングする
チョーキングをする際は、主に薬指をメインとして弦を上げますが、
薬指だけだと力が足らず、弦が上がりきらなかったり、安定しない場合があります。
そこで、中指や人差し指にも手伝ってもらうことにより、必要な力が入り安定性のあるチョーキングをすることが出来ます。
余弦ミュート
ノイズの少ない綺麗なチョーキングをするためには、余弦ミュートが必要不可欠です。
例えば、3弦7フレットをチョーキングする場合、薬指と中指で3弦を押さえつつ、指先で2弦を余弦ミュート、人差し指を寝かせて1弦、2弦をミュートします。
余弦ミュートをしっかりしないと、チョーキングを戻した時に他の弦に指に引っかかって、無駄な音が鳴ってしまい、カッコ悪くなるので注意です。
チョーキングの種類/用語
チョーキングには様々な種類があります。
全音チョーキング
チョーキングというと、一般的には全音チョーキングのことです。
ギターの指板は1フレットで半音なので、2フレット分高い音までピッチを上げることになります。楽譜では「CHO」等に表記されます。
半音チョーキング(ハーフチョーキング)
1フレット分だけチョーキングすることです。
楽譜では「H.C」と表記されます。
クオーターチョーキング
クオーターとは1/4という意味です。厳密に1/4ピッチをあげる必要はなく、少しだけチョーキングすればOKです。ブルースでよく使われます。
楽譜では「Q.C」と表記されます。
チョークアップ
チョーキングをしてからピッキングする技法です。
楽譜では「U」と表記されます。
通常のチョーキングは
ピッキング→チョーキングの順番ですが、
チョーキング→ピッキングの順番になるので、
ピッキングするまでピッチが合っているか分かりません。
やや難しい技法です。
チョークダウン
チョークアップと逆の技法で「D」や「CD」で表記されます。
チョーキングの練習方法
チューナーを使う
チョーキングで弦を上げる際、「これくらいかな」と適当なピッチでやりがちです。人に指摘されて、初めて正しい音程でチョーキングが出来ていないことに気付いたりします。
そんな時は、チューナーを使いましょう。
例えば、3弦7フレットをチョーキングする場合はチューナーを見ながら「D」から「E」になればOKです。
練習の順番の例として
①チューナーを見ながらチョーキング
②チューナーを見ないでチョーキングして、最後にチューナーで確認
③チューナーを見ないでチョーキングして、耳で合っていることを確認
これを、何度か繰り返し、感覚を覚えていきましょう。完璧なピッチにするのは難しいですが、少しでもピッチのズレをなくしていくことが重要です。
「チョーキングは耳でする」という有名な言葉がある通り、チューナーに頼らないで正確なピッチでチョーキングが出来るようになることがゴールです。
チョーキングあるある
弦の下に指が潜る
私が最初にチョーキングをした時、弦の下に指が潜る&とにかく指が痛いばかりで、「チョーキングはなるべく避けよう」と思っていました。
が、練習していく中で「指の腹で弦を持ち上げる」ことがポイントだと気付きました。
爪の間や、爪寄りで持ち上げようとすると、自分から弦の下に潜り込ませているようなフォームになりますし、なにより痛いです。弦を持ち上げるのは指の腹でしましょう。
あと、弦高が高めの場合も指が潜りやすいので、弦高を下げるとスムーズにチョーキングが出来るかもしれません。
弦が切れる恐怖
意外に弦は切れません。思いっきりやりましょう。
チューニングはやればやるほど狂いますので、こまめにチューニングしましょう。
顔でチョーキングする
チョーキングはギタリストの感情表現なので、チョーキングをしながら「キチー顔」をしてみましょう。それっぽい感じ、やってる感が出ます。
最後に
チョーキングはギタリストの醍醐味だと思います。指が痛い、正確なピッチが出ないと大変な点はありますが、あきらめずに練習しましょう。また、チョーキングは「上げ過ぎない」よりも「上げ過ぎる」方が良いです。人間の耳は「上げ過ぎる」方が心地よく聞こえますので、思いっきり弦を上げて練習してみましょう!